2022年 読書記録 | Design Studio 有限会社シアン

有限会社シアン

BLOG

2022年 読書記録

●隠し部屋を査察して/エリック・マコーマック 【1月9日】
●パラダイス・モーテル/エリック・マコーマック 【1月15日】
●ミステリウム/エリック・マコーマック 【1月19日】
●雲/エリック・マコーマック 【1月25日】
マコーマックは、私には、出版が古い初期のものほど面白く思えてしまった。「隠し部屋〜」のような奇想の短篇をもっともっと書いてほしい。長篇の中にエピソード的に入ってる不思議話だけで短篇集にしてほしい。

●プラヴィエクとそのほかの時代/オルガ・トカルチュク 【2月12日】
ポーランドの国境に近い架空の町「プラヴィエク」の人々と歴史。いかに自分が”東欧”を知らないか、ポーランドがなぜウクライナの難民をあんなに自然に受け入れているのかがよくわかる。トカルチュクはこれで邦訳されてる分は読み終わってしまった。『昼の家、夜の家』が一推し。

●未見坂/堀江敏幸 【2月19日】
●熊の敷石/堀江敏幸 【2月22日】
●なずな/堀江敏幸 【2月26日】
●ゼラニウム/堀江敏幸 【3月3日】
堀江さんの固め読み。堀江さんの小説がもっと読みたいのだけれど、散文・エッセイが多くてなかなか小説を探し出せない。

●エルサレム/ゴンサロ・M・タヴァレス 【3月11日】

●密やかな結晶/小川洋子 【3月16日】

●馬を盗みに/ペール・ペッテルソン 【3月24日】

●ブローティガン 東京日記/リチャード・ブローティガン 【3月28日】
ブローティガンが東京で1ヶ月半程度過ごしたときの日々の詩/散文。私があの坂道の多い町で明日より先のことは何も考えられないような子供だったころ、同じ東京の曇り空の下にブローティガンも居たのかと思うと不思議な気持ちになる。ピストル自殺するずっと以前のブローティガン、梅雨時だから同じ雨も降ってた、たぶん。

●すべての火は火/フリオ・コルタサル 【4月5日】
見慣れた日常が少しずつずれて行き、気がつけば知らない場所に出てしまう短篇集、秀逸だった。文章の仕掛けも面白い。語り手が次々に変わる『コーラ看護婦』は病院が舞台なこともあってかつての『ER』のワンカットカメラワークのよう。それから二つの物語が切れ目なく並行に進みラストで一つのイメージに結合する表題作の素晴らしさよ。ラテンアメリカ系迷宮良い。

●生まれ変わり/ケン・リュウ 【4月13日】

●もののはずみ/堀江敏幸 【4月18日】

●うろん紀行/わかしょ文庫 【4月24日】

●すべての月、すべての年/ルシア・ベルリン 【4月30日】
「掃除婦のための手引書」で強烈に惹かれたルシア・ベルリンがここにも。
強かだけど繊細で弱くて、流されて、でも折れない、どこまでも孤独な女たち。出てくるキャラクターが皆印象強く忘れ難い。

●死刑にいたる病/櫛木理宇 【5月3日】

●ザリガニの鳴くところ/ディーリア・オーエンズ 【5月9日】

●ムーン・パレス/ポール・オースター 【5月14日】
●サンセット・パーク/ポール・オースター 【5月19日】
オースターの2作、どちらも、見晴らしの良い広々とした袋小路に放り出されるような読後感。

●断絶/リン・マー 【6月3日】

●たのしい暮しの断片/金井美恵子・金井久美子 【6月9日】

●死ぬまでに行きたい海/岸本佐知子 【6月10日】

●ことばと思考/今井むつみ 【6月12日】
ものすごく面白くて、一気読みしてしまった。
言語が思考にどんな影響を与えるのか?いろいろな研究者や筆者自身の実験結果をもとに展開されていく言語と思考の関係性への深い考察。生後数ヶ月の乳児には差異がない認識が母語を聞き慣れるにつれてその言語の話者の特性に寄っていくとか、母語言語をもとにした空間認識の有り様とか。「前・後・右・左」という概念がなく「東・西・南・北」の包囲で空間を認識している言語の話者が、居住地から100km離れた窓のない建物の中で正確に自分の居住地の方向を指差した実験等々、読んでいて楽しすぎる。『言語が異なると思考も異なる』ウォーフ仮説がある程度正しいというところに納得した。どんな言語も世界の認識を歪めるフィルターになるということは自覚しておきたい。

●アウステルリッツ/W・G・ゼーバルト 【6月22日】
過去を辿る旅。ベルギー、イギリス、フランス、そしてドイツ。ヨーロッパをめぐる道程が内側へ内側へ自分自身へ深く潜っていく行程になる。「明日はあなたの誕生日だから、朝起きたらすぐにあなたの幸せを願う。でもそれは、中の仕組みを知ることができない機械に向かって元気でと願うみたいなものかもしれない」て一文が印象的。

●バビロンを夢見て/リチャード・ブローティガン 【6月30日】

●川端康成異相短篇集/川端康成 【7月10日】
川端康成の短篇を「異相」テーマに編んだもの。川端康成は所々で何気なく出てくる風景や自然を描写する文章が美麗なのがとても良い。
女学校の生徒が憧れの女教師が尊すぎて心の中でも名前で呼べずに「あの方」と想っている『朝雲』、「あの方」への8通の手紙、当たり障りのない適当な文章を書いとけばいいものを、一通も返事をくれなかったことこそが返事なのではと思ったりした。

●引き出しに夕方をしまっておいた/ハン・ガン 【7月12日】
「ある種の悲しみは水気がなくて固くて、どんな刃でも研磨できない原石のようだ。」
ハン・ガンは詩でもハン・ガンだ。

●インド夜想曲/アントニオ・タブッキ 【7月17日】
●遠い水平線/アントニオ・タブッキ 【7月22日】
●とるにたらないちいさないきちがい/アントニオ・タブッキ 【8月2日】

●猫の客/平出隆 【8月5日】

●千年の愉楽/中上健次 【8月11日】
真夏の暑い暑い日々にぴったりの短篇集だった。濃厚さに咽せる。

●medium 霊媒探偵城塚翡翠/相沢沙呼 【8月19日】
●invert 城塚翡翠倒叙集/相沢沙呼 【8月20日】
霊能力者と推理作家のバディものか、、面白いけどこのミス大賞とるほど…??と思いながら読み進めて、すっかりやられましたわ。「すべてが伏線」の帯、まさに。これは大賞ですね、舐めてました、すいません。このシリーズ、今後も読みます。

●プレゼント/若竹七海 【8月24日】
●依頼人は死んだ/若竹七海 【8月26日】
●静かな炎天/若竹七海 【8月28日】
●不穏な眠り/若竹七海 【8月29日】
●暗い越流/若竹七海 【8月30日】

●オリーブの実るころ/中島 京子 【9月10日】

●invertII 覗き窓の死角/相沢沙呼 【9月16日】

●敗者の祈祷書/E.M.シオラン 【9月17日】
今年の頭に読み始めて夏が終わる頃にようやく読了。読み終わった感想「ちょっと、なに言ってるかわかんないんですけど」
書いてあることの意味の100万分の1も理解は出来ていないだろう。でも、所々に表れる感傷といえるような詩情だだ漏れな比喩・表現がかなりぐさぐさ来るので、ときどき読みたくなるのだった。

●濱地健三郎の呪える事件簿/有栖川有栖 【10月2日】

●夜のリフレーン/皆川 博子 【10月11日】
●夜のアポロン/皆川 博子 【10月15日】

●オメガ城の惨劇 SAIKAWA Sohei’s Last Case/森 博嗣 【10月17日】
また気持ちよく騙されました。

●幽霊たち/ポール・オースター 【10月24日】
これまで読んだオースターの小説で、『ガラスの街』を超えて一番好きかもしれない。

●そうはいっても飛ぶのはやさしい/イヴァン・ヴィスコチル+カリンティ・フリジェシュ 【11月15日】

●偶然の音楽/ポール・オースター 【11月27日】

●外は夏/キム・エラン 【12月4日】

●魔弾の標的 警視庁捜査一課十一係/麻見 和史 【12月9日】

●このサンドイッチ、マヨネーズ忘れてる/ハプワース16、1924年/J・D・サリンジャー 【12月11日】

●高原のフーダニット/有栖川有栖 【12月20日】
火村英生シリーズ、既刊分は読破したと思っていたのに、この本が漏れていた。これで本当に読み切った、たぶん。

●十二月の十日/ジョージ・ソーンダーズ 【12月25日】
2022年の読了本はこれでおしまいかな。今年も面白い本に沢山出会えた。ありがとう。ありがとう。

topへ